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2021年専利審査基準改正について

2021年専利審査基準改正について

台湾知的財産局は2021年7月14日に、専利審査基準第二篇(特許実体審査)第1章~第6章、第10章、第11章、第13章、第14章、第三篇(意匠の実体審査)第1章、第5章、第四篇(実用新案の審査)第3章、及び第五篇(無効審判審理)第1章の改正(以下、2021年版専利審査基準と称する)を公告し、即日発効した。

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BY 陳建穎

台湾知的財産局は2021年7月14日に、専利審査基準第二篇(特許実体審査)第1章~第6章、第10章、第11章、第13章、第14章、第三篇(意匠の実体審査)第1章、第5章、第四篇(実用新案の審査)第3章、及び第五篇(無効審判審理)第1章の改正(以下、2021年版専利審査基準と称する)を公告し、即日発効した。

以下に、2021年版専利審査基準における、実体審査に係わる部分のみを取り上げてその改正要点を説明する。

一、第二篇第一章-明細書、請求の範囲、要約及び図面

1.「2.6 審査注意事項」

(1)独立項においては、発明の標的を精確に反映させるために、標的の名称を明記しなければならなく、例えば、「...である物品」、「...を特徴とする装置」、「...を特徴とする方法」等の用語は、発明の標的を明記していないものに属する。

また、「Aを300℃で加熱することによりBを得る工程を含むことを特徴とする方法」とのような記載は不明確であることから、「Aを300℃で加熱することによりBを得る工程を含むことを特徴とするBの製造方法」に記載すべきである。

(2)独立項において、「...を特徴とする」等の用語が記載されている場合、その請求項は必ずしも、二段式請求項であるとは限らなく、また、従属項では、「...を特徴とする」とのような表現方式を使用する必要はないが、そのような用語を使用する場合、その請求項は必ずしも、二段式請求項であるとは限らない。例えば、「素子Aがaであることを特徴とする請求項1の装置」の場合、当該「特徴とする(中訳:其特徵在於:…)」は、「その内(中訳:其中,…)」に相当するので、不明確の問題は存在しない。

(3)請求項の技術特徴において、図面における符号を引用する時、その符号は、対応する技術特徴の後ろに付し、且つ括弧内に記載されている場合、不明確の問題は存在しなく、また、請求項に置換基を有する化学式が記載されている場合、置換基の種類に関する記載は、一般式を説明するためのものであるので、括弧の有無は、請求項の明確性に対して影響を与えない。

二、第二篇第六章-補正

1.「4.2.2 許される削除」

(1)「除くクレーム(disclaimer)」のような、ネガティブな表現方式で引用文献と重複する部分を排除する補正について、引用文献は、新規性欠如、拡大先願又は先願主義の違反に係るものである場合のみに適用でき(ただし、「同日で出願する」引用文献を除く)、また、請求項には、「人間」に係る部分が含まれることで、公序や良俗を害する場合は、「人間」を排除する補正をすることができる。

2.「4.2.3 許される変更」

(1)請求項に記載の数値範囲の上、下限端点値の変更について、以下に示す2つの条件を同時に満たす場合、新規事項の追加に該当しなく、その変更は認められる。(i)変更後の数値範囲の端点値が、出願時の明細書、請求の範囲又は図面に開示されている。(ii)変更後の数値範囲が、出願時の明細書、請求の範囲又は図面に開示される数値範囲に含まれている

例えば、明細書に「屈折率の範囲」について記載されていなく、2つの実施例に、「屈折率が0.1、0.3である」ことしか記載されていない場合、「屈折率が0.1~0.3である」との数値範囲は、補正前の明細書、請求の範囲又は図面に開示の範囲から一義的に導き出すことができないので、請求項に「屈折率が0.1~0.3である」との技術特徴を追加することはできない。

また、例えば、明細書に「屈折率が0.1~0.3である」ことが記載されており、且つ一つの実施例のみに「屈折率が0.35である」ことが記載されている場合、「屈折率が0.3~0.35である」との数値範囲は、補正前の明細書、請求の範囲又は図面に開示の数値範囲に含まれないので、請求項における「屈折率が0.1~0.3である」との技術特徴を、「屈折率が0.1~0.35である」に変更することはできない。

三、結論

今回の改正によると、「進歩性欠如に係る引用文献と重複する部分を排除するための除くクレーム(disclaimer)の使用はできない」こと、及び「明細書、請求の範囲又は図面に数値範囲が記載されていない場合、実施例等に記載の複数の数値を組み合わせて、請求項に新たな数値範囲を特定することはできない」ことが明確に規定されたので、請求項に対する補正の制限を注意しなければならない。

また、請求項における括弧の記載について、中国の場合、審査官は、専利審査指南の規定に基づき、「括弧の中の内容は、保護を請求しようとするものであるのかを理解できないので、専利法第26条第4項の規定(請求の範囲の明確さ)に違反する」と指摘されることが多いが、台湾の場合、審査基準に、置換基を説明するための括弧の記載に関する規定がなかったことから、中国と同様に指摘されることが偶にあったが、今回の審査基準では、前述のように括弧の記載に関する規定を明確に記述していることから、紛争が避けられるでしょう。

 

※詳細については、ipdept@taie.com.twまでお問い合わせ下さい。

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