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台湾での専利権の間接侵害

台湾での専利権の間接侵害

発明の専利権者は、他人がその同意を得ずに、当該発明を実施することを排除する権利を専有し(台湾専利法第58条第1〜3項)

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BY 魏任国

発明の専利権者は、他人がその同意を得ずに、当該発明を実施することを排除する権利を専有し(台湾専利法第58条第1〜3項)、また、専利権の範囲に対する判定、及び専利権侵害の有無についての判断は、実務上、2016年2月に経済部知的財産局が公布した「特許侵害判断要点」を重要な基準とし、なお、第三者が特許発明を実施し、且つ当該実施行為が、前記「特許侵害判断要点」における「オール・エレメント・ルール」や、「文言を充足する」こと、「均等論」などの判断基準を満たす場合、専利権侵害に該当する。

専利権侵害について、行為者が当該発明を直接的に実施した場合(いわゆる専利権の直接侵害(direct infringement))は、侵害行為に該当するのかについてとくに争議を有しないが、係争特許の発明の全てではなく、当該発明における、一部の技術内容のみを実施した場合、或いは、行為者が製造した物は専利権を侵害しないものの、それが専利権を侵害する物にとって不可欠な部品である場合、当該行為者が、専利権侵害の責任を負うか否かについては依然として争議が存在しており、何故なら、当該実施行為は、他人による専利権侵害を促す可能性があるからである(いわゆる専利権の間接侵害(indirect infringement;contributory infringement))。

台湾では、専利権の間接侵害に関する規定を台湾専利法に取り込むかについての検討が過去にあったが、最終的には、取り入れることにならず、現在の台湾専利法には依然として専利権の間接侵害に関する規定を有しないため、実務上、間接侵害を訴えようとした場合、台湾民法第185条第2項の規定を適用して、「当該行為は、不法侵害行為への幇助や教唆である」ことを主張することしかできないのが現状である。

また、民法第185条第2項の規定を適用しようとした場合、実務上、当該間接侵害の行為者は、主観的な侵害意図や過失を有し(例えば、元々専利権を侵害する意図を有しない者に対して勧誘を行うことにより、その者が専利権侵害の行為を成し遂げることになることなど)、且つ客観的に、その実施行為が、特許が保護する標的の重要部分や主な部分に関連する場合に、当該行為者が初めて連帯責任を負うと判断されることになる。

しかしながら、侵害行為が未だ発生していない場合、民法における損害賠償に関する規定を適用することができないことから、専利権者は、発生し得る侵害行為を事前に抑止することができず、即ち、「不法侵害の予防」との目的を達成することができない。

故に、民法における共同侵害に係る規定を、専利権の間接侵害に適用することは、専利権が属する「無体財産権」の性質を十分に配慮していないと思われることから、民法の共同侵害に係る規定を適用することではなく、専利権の間接侵害との態様を台湾専利法に明記した方が、特許制度に係る「発明、実用新案及び意匠の創作を奨励、保護、利用して、産業の発展を促進する」との目的をより達成することができると考える。

※詳細については、ipdept@taie.com.twまでお問い合わせ下さい。

関連条文:

 

《台湾専利法第58条》

発明の専利権者は、本法で別段の規定がある場合を除き、他人がその同意を得ずに、当該発明を実施することを排除する権利を専有する。

物の発明の実施とは、当該物を製造、販売の申し出、販売、使用をする行為、又はこれらを目的として輸入する行為を言う。

方法の発明の実施とは、次の各号に掲げる行為を言う。

1.当該方法を使用する行為。
2.当該方法により直接に製造した物を使用、販売の申し出、販売をする行為、又はこれらを目的として輸入する行為。

 

専利権の範囲は、特許請求の範囲を基準とし、特許請求の範囲の解釈時には、明細書及び図面を参酌することができる。

要約は、特許請求の範囲の解釈に使用されることができない。

《台湾民法第185条》

複数人が共同で他人の権利を不法侵害した場合、共に損害賠償責任を負う。その中の何れが加害者であるかについて判断できない場合も同様である。

教唆者と幇助者は共同行為者と見なす。  

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