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請求の範囲における用語の解釈は、知的財産裁判所がその職権により認定するものであり、当事者主張に拘束されない。

請求の範囲における用語の解釈は、知的財産裁判所がその職権により認定するものであり、当事者主張に拘束されない。

原告は、中華民国第M433160号の実用新案権(以下、係争権利と称する)の権利者であり、被告に対し、被告の製品(以下、係争製品と称する)が前記係争権利を侵害していると提訴した。

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BY 編集部

原告は、中華民国第M433160号の実用新案権(以下、係争権利と称する)の権利者であり、被告に対し、被告の製品(以下、係争製品と称する)が前記係争権利を侵害していると提訴した。第三者による前記係争製品の鑑定結果によると、該係争製品が前記係争権利の請求項1~5の文言侵害に該当するので、被告に対して、侵害の排除と係争製品の回収、廃棄を請求した。

被告側は、「係争権利には取消すべき理由がある」と、即ち、係争権利の請求項1について、係争権利の請求項1における、コップ体の構成の改良としての必要な構成要件である「円弧体」の意味は不明確であり、当業者であっても、係争権利の明細書と図面から、その「円弧体」に関する必要事項、及び、それと他の部材との関連性や連動関係が理解しにくいことから、請求項1に基づいて実施することができないので、専利法第26条第2項の規定に違反していると主張した。

それに対して、原告は、「係争権利には取り消すべき理由がない」と主張した。その理由は、「係争権利の請求項1における『上方コップ体』と『下方コップ体』とは、『重なり合って積む』との技術関連性を有しており、また、上方コップ体の『コップの底』と、下方コップ体の『突起当接部の上面』とは、『重なり合って積むように当接して位置決められる』との技術関連性を有するので、係争権利の明細書と図面は、専利法第26条第2項の規定を満たしている」ことにある。

知的財産裁判所は、「如何に係争権利の請求項1に記載した『円弧体』及び『重なり合う』との用語を解釈する」との本件の主な争点について、その見解を以下のように示した。専利請求の範囲に用いられる用語の解釈は、知的財産裁判所がその職権により認定するものであり、当事者主張に拘束されない。また、実用新案専利権の範囲は、明細書に記載された請求の範囲を基準とし、専利請求の範囲を解釈する場合、明細書及び図面を斟酌することができる。本件において、係争権利の請求項1に記載した「円弧体」及び「重なり合う」がどう解釈すればよいかの争点について、知的財産裁判所が、「実用新案専利権の範囲に用いられる用語に対し、各部材の相互間の連動技術特徴に基づいた時に、様々な解釈とすることができるので、明細書全体の内容に基づき、その創作の目的、作用、及び効果を理解する必要がある。従って、係争権利の請求項1に記載した『円弧体』及び『重なり合う』の解釈について、明細書及び図面を斟酌して、専利請求の範囲を解釈する必要がある」との見解を表明しており、また、原告は、「『円弧体』は、『コップ体の下縁における、コップの底と繋がる部分は、角度を有する構成を形成しない』や、『コップ体の下縁とコップの底とは、円弧を形成するように接続されており、直角を形成するような接続ではない』と解釈すべきである」と主張したが、知的財産裁判所は、「係争権利の明細書、及び専利請求の範囲には、『円弧体』との用語について特別な定義を有しない以上、原告の主張に基いて請求項の範囲の解釈を限定することはできない」との判断を下した。

以上のことから、知的財産裁判所は、「円弧体」との用語は、当業者が、認識又は理解できる通常の意味に推定し、即ち、「円弧体」との用語は、「コップ体の下縁が『円弧状の外形』でコップの底に接続される」と解釈すべきであるとした上で、係争権利の請求項1に記載された「重なり合う」との用語は、上下二つのコップ体の堆積方式を限定しているので、「原告の主張は成立しない」と認定したと共に、係争権利が進歩性を有するか否かの争点については、「当業者であれば、証拠2から容易に完成させることができるので、進歩性を有しない」と認定し、原告の訴えを棄却した。

資料の出処:台湾知的財産裁判所108年度民專訴字第93号民事判決,2021年4月6日。

 

※詳細については、ipdept@taie.com.twまでお問い合わせ下さい。 

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