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西洋薬のパテントリンケージ制度に対応する改正特許法第60条の一

西洋薬のパテントリンケージ制度に対応する改正特許法第60条の一

台湾の立法院は2022年4月15日に、特許法・著作権法及び商標法等の改正案を可決した。そのうちの特許法第60条の一の内容が台湾国内の後発医薬品のメーカーの研究開発に影響を与えるとの声も上がったが、行政院が提示した内容のまま可決された。

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BY 編集部

台湾の立法院は2022年4月15日に、特許法・著作権法及び商標法等の改正案を可決した。そのうちの特許法第60条の一の内容が台湾国内の後発医薬品のメーカーの研究開発に影響を与えるとの声も上がったが、行政院が提示した内容のまま可決された。

本特許法改正案は、<環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)>に合わせて提出した法改正である。CPTPP第18.53条には、「医薬品販売を承認したときは、パテントリンケージ制度、を提供することにより、医薬品特許の有効性や特許権侵害に係る紛争を適時に解決すべきである」との記載を有するが、パテントリンケージ制度の実施においては問題が発生する虞がある。つまり、新薬の特許権を持つ特許権者にとって、訴訟を提起する法的根拠が存在しない虞があり、また、後発医薬品メーカーにとって、新薬の特許権者が訴訟を提起しない限り、後発医薬品メーカーから確認訴訟を提起しようとしても、訴えの利益を欠くものとされる虞があるのが現状である。

改正特許法第60条第1項に記載される「医薬品の許可証の申請者は、新薬の許可証の所有者の許可された新薬に係る登録済みの特許権に対し、薬事法第48の9条第4号の規定により、申告を出した場合、特許権者が通知を受けた後、第96條第1項の規定により、新薬の許可証に登録された特許権の侵害の差し止めや侵害防止を請求することができる。」との規定では、新薬の特許権者が、特許権侵害訴訟を提起する法的根拠について明確に定められている(つまり、新薬の特許権者が、「後発医薬品メーカーが医薬品の許可証を申請したと共に、『新薬に対応する特許を取り消すべきである』との申告や『新薬に係る特許権を侵害していない』との申告をした」ことが分かった場合、特許権侵害訴訟を提起することができる)。また、第2項に記載される「特許権者は薬事法第48の13条第1項に定められる期間内に前項の申請者に侵害訴訟を提起していない場合、該申請者は、医薬品の許可証を申請した薬品が該特許権の侵害になるか否かについて確認訴訟を提起することができる」との規定では、医薬品の許可証を申請した後発医薬品が特許権の侵害になるか否かの確認訴訟を起こす法的根拠について明確に定めている。

実際に、2019年に薬事法の改正法が施行された際に、西洋薬のパテントリンケージ制度が既に導入されていたことから、後発医薬品メーカーは、医薬品の許可証を申請する際に、早い段階で特許権侵害の有無を明らかにすべきである。また、合理性を欠ける権利主張を防止するために、薬事法には、「新薬の特許権者が特許権を適切に行使していないことで、後発医薬品の医薬品の許可証の申請者が、医薬品の許可証の発行が一時的に停止されることにより、損害を被った場合、新薬の特許権者はこれによって生じた損害を賠償する責任を負うべきである」と規定されている。

※詳細については、ipdept@taie.com.twまでお問い合わせ下さい。

  

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