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立法院は<知的財産案件審理法>を第三読会で可決通過、施行14年以来最大規模の改正に、その9大改正点の紹介

編集部

立法院は去る1月12日に、「知的財産案件審理法」(以下、「知的審理法」)改正草案を第三読会で可決通過した。今回で可決通過された条文は計77条(追加36条、改正41条)あり、現行法の41条より大幅に増加し、知的審理法が施行された14年以来で最大規模の改正となった。司法院は、今回の改正は営業秘密の保護に重点を置いているため、「護国神山(=国を守る神の山の意味。特に台湾のTSMCを指している)」を着実に発展させ、より専門的、効率的、国際的潮流にも順応した知的財産権訴訟制度を構築することができると強調した。

今回の主な改正点は以下の9点である。

一、営業秘密侵害訴訟の保護の強化

営業秘密侵害事件はすべて知的財産及び商事裁判所(以下、「知商裁判所」)で審理されることになり、訴訟における営業秘密の保護を強化するためのさまざまな措置が講じられる。

今回の法改正は、特に「護国神山に対して安定したビジネス環境の確保」という国民の期待に着目し、知的財産民事事件の第一審を知商裁判所の管轄とし、一般の営業秘密侵害の犯罪に係る「第一審の刑事事件」(付帯民事訴訟を含む)を知商裁判所の第一審知的財産法廷が審理することとし、それにより、専門性、適切性及び迅速的な審理という目標を達成する。一方、国家安全保障法の規定に応じて、国家基幹技術の侵害に関する営業秘密刑事事件については、高等裁判所のレベルに相当する第二審知的財産法廷を第一審の管轄裁判所とする。そして、専門的な審理を徹底するために、最高裁判所が知的財産事件を取り扱う専門法廷或いは専門部門を設立すべきであることを明確に規定した。

なお、営業秘密に関する証拠書類の内容を保護するために、営業秘密の証拠書類の内容を非識別化するための暗号名または代替名、証拠書類の情報を知る権利に関する規定を新設するとともに、秘密保持命令制度を修正した。また、秘密保持命令に違反した場合の犯罪を非親告罪に改め、刑事責任を加重した。更に、「域外の秘密保持命令違反の罪」を導入することにより、営業秘密侵害訴訟における更なる保護を図る。

二、知的財産事件の集中審理--審理計画制度の導入

弁護士強制代理制度を採用する特定の事件、或いはその他の事件が複雑で又は必要である場合には、裁判所は、当事者と協議して審理計画を策定すべき旨の規定を新設した。なお、訴訟の効率化を図るために、審理計画の事項に違反する場合の法的効果を規制した。

三、弁護士強制代理範囲の拡大

知的財産民事案件の高度に専門的な法的性質に鑑み、当事者の権益を保護し、審理の効率化を促進するために、特定類型の知的財産民事事件(専利権、コンピュータプログラムの著作権、営業秘密に関する民事訴訟事件、上告審、再審事件など)であれば、弁護士が強制的に代理されることとなる。

四、審理への専門家参加を拡大--査証制度及び専門家証人制度の導入

高度な技術性及び専門性を有する新興の訴訟事件において、裁判所による真実の発見を支援し、証拠の偏在問題を解決し、当事者の訴訟における武器平等化を促進するために、日本の特許法の規定を参考に、訴訟提起後に裁判所に、証拠収集手続きを行う中立な立場の技術専門家を選任するよう申立てをすることができる、「査証」制度を導入した。更に、当事者間紛争を専門的かつ適切・迅速に解決するために、商事事件審理法において採用されている「専門家証人」制度に準用する旨の規定を新設した。

五、紛争の一括解決、裁判の不一致の回避--司法と行政との間の情報交流制度の確立

司法審理と行政審理との間の情報交流制度、知的財産専門機関に対する意見聴取制度、専用実施権の訴訟告知義務及び知的財産権の有効性判断の不一致に係る再審の制限を新設することで、裁判の不一致を回避する。

六、審理効率の促進--技術審査官による報告書が更なる透明化に

技術審査官が作成した報告書について、裁判所は、必要と認めるとき、その内容の全部又は一部を公開することができる。また、当事者に弁論の機会を与えるべきであり、それによって初めて裁判の基礎とすることができる。また、被害者の立証程度を軽減し、権利侵害被疑者に具体的な答弁義務を課す。

七、テクノロジー設備による審理の促進、司法の電子化の向上

テクノロジー設備を運用して訴訟手続きに参与できる対象を拡大するように修正し、判決の原本を電子書類で送達することができる旨の規定を新設した。

八、被害者がより積極的に権益を守れるようにするために、被害者の訴訟参加制度を新設

被害者の権益を保障するために、刑事訴訟法における「被害者の訴訟参加制度」関連規定に準用する旨の規定を新設した。

九、実務上の争議の解決

「訂正の再抗弁」制度及び「付帯民事訴訟手続き」などの規定を修正することで、訴訟の紛争解決機能を強化する。

<資料の出処:https://www.judicial.gov.tw/tw/cp-1887-795719-527c0-1.html>

※詳細については、ipdept@taie.com.twまでお問い合わせ下さい。  

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