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06.23.2009
特許審査速度の遅延、競争力に影響

知的財産局の審査に係る人材不足により、毎年少なくとも2.7万件の特許出願が審査待ちの状態となっている。今後、審査速度が改善されなければ、2021年には46万件の特許出願が審査待ちの状態となり、更に、その後に出願した件については、出願してから審査結果を受け取るまでに20年もかかってしまう。これは即ち、「特許証書を受領していないにもかかわらず、特許期限が切れるといった状態」に陥ってしまうことを意味する。

知的財産局の局長である王美花氏も、現況について非常に懸念を抱いていることから、先日、399名の特許審査官を増員する計画を打ち出したが、その計画は人事行政局の同意を得ることができず、60人のみの増員に止まった。また、立法委員(国会議員)の丁守中氏も、先日、上記の問題について公聴会を開き、人事局、知的財産局、専門家、学者と意見交換を行った。

この問題に関連し、王美花氏は、『出願数は、去年、金融津波の影響でやや減少したが、それでも依然として4.7万件も有する。現在の人数では、1年に2.3万件程度しか審査できなく、このままでは平均して年に約2.7万件が審査待ちの状態に陥り、今年末までに、審査すべき件が15万件を超える恐れがあり、更に、特許の期限は、出願日から起算して20年を持って満了するが、現在、1件の特許出願の審査時間は、平均して26ヶ月~38ヶ月かかっており、半導体、光電、通信などの分野においては、更に人力不足の問題が深刻な状況にあるので、45ヶ月以上に遅延する可能性もある』と述べている。

また、神達(MiTAC)の法務長である阮啓殷氏は、『我が社は、3000件以上の特許権を持っているが、未だに、4000件の出願が知的財産局に放置されたままとなっている。製品ライフサイクルが短い電子製品にとっては、出願して六ヶ月以内に特許権を取得しなければ、出願する意味がなくなってしまう』と指摘している。

一方、工研院(工業技術研究院)は、『台湾の特許審査の速度は非常に遅いことから、3分の2の特許を先ず海外に出願している』という。又、当事務所の王錦寬協理は、『台湾は、百万人あたりの特許出願数が世界一であるが、審査が非常に遅いことから、優勢の状況には至っていない』と述べている。

上記の批判に対して、人事行政局の副局長である鍾昱男氏は、『この二年間、知的財産局に99人の増員を行ったにもかかわらず、審査待ちの案件量や審査時間が大幅に増加している。このことから考えると、知的財産局自身が、その審査の流れを検討して、根本的な問題点を見つけ出し解決しない限り、幾ら増員を行っても無駄である』と述べた。

尚、組織条例の規定によると、知的財産局の契約労働者の数は既に上限に達していることから、条例を改正しなければ、人事行政局においてもこれ以上増員を行うことはできないのが実情である。

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