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09.10.2020
台湾知的財産局は2020年7月31日に、改正後の専利審査基準第四篇(施行日:2020年8月1日)を公布した。

台湾知的財産局は2020年7月31日に、改正後の専利審査基準第四篇(施行日:2020年8月1日)を公布した。その改正内容は、第四篇のタイトルを「実用新案の形式審査」から「実用新案の審査」に変更したこと、及び、「第三章 実用新案の技術報告」を新たに追加したことである。

該「第三章 実用新案の技術報告」の重点は以下の通りである。

 

1.序文

実用新案は形式審査制度を採用し、何人も、実用新案の公告後に、権利行使や技術利用の参考として、実用新案の技術報告を請求することができる。
実用新案の技術報告は行政処分ではないので、請求人は、実用新案の技術報告の対比結果に対して行政救済を提起することはできない。
実用新案の技術報告の請求に係る事実は、專利公報に記載されなければならない。また、実用新案の技術報告の請求を取り下げることはできない。

 

2.実用新案の技術報告の請求

2.1請求人

何人も、実用新案の技術報告を請求することができる。

 

2.2請求のタイミング

(1)実用新案権の存続期間
実用新案の出願が公告された後に、何人も実用新案の技術報告を請求することができる。

(2)実用新案権が当然消滅した後
実用新案権が当然消滅した後も、依然として何人も実用新案の技術報告を請求することができる。

 

実用新案の技術報告の請求時に、実用新案の全ての請求項が取り消された場合には、実用新案の技術報告の請求は受理されない。ただし、実用新案の全ての請求項に対する無効審判が成立し且つ行政救済手続きに係属している場合には、実用新案の技術報告の請求は受理される。

2.3実用新案が、非権利者による商業上の実施に関する事情を有することに係る主張

非権利者による商業上の実施に対し、実用新案の権利者が警告を出すために、実用新案の技術報告をなるべく早く取る必要がある場合には、請求人は、実用新案の技術報告の請求時に、その事実を説明すると共に証明書類を添付することができる。この場合、主務官庁は6ヶ月以内に実用新案の技術報告を完成させるべきである。

また、非権利者による実用新案の権利侵害に係る紛争がある場合には、実用新案の技術報告の請求時に、該技術報告をなるべく早く作成することを主務官庁に求めるよう、その事実を説明すると共に証明書類を添付することもできる。

 

3.実用新案の技術報告における対比

3.1実用新案の技術報告における対比事項

実用新案の技術報告では、新規性要件における“刊行物に見られたもの”、拡大先願による新規性の喪失、進歩性、及び先願原則との事項のみについて、請求項の対比を行ってコードを付与する。

 

3.2複数回の実用新案の技術報告の請求に対する処理原則

何人も、必要に応じて実用新案の技術報告を請求することができ、その請求回数の制限はない。実用新案の技術報告が作成され発行された後に、公告されることになる。

 

4.実用新案の技術報告の作成ステップ

4.1実用新案の内容を理解する

4.2請求項ごとにその範囲を確かめる

4.3検索の対象を確かめる

4.4検索の範囲を確かめる

4.5対比の結果のコードを付与する

コード1:本項の創作は、新規性を有しない。
コード2:本項の創作は、進歩性を有しない。
コード3:本項の創作は、拡大先願により、新規性を有しない。
コード4:本項の創作は、出願日前に提出された出願の発明又は実用新案の創作と同様である。
コード5:本項の創作は、同日に提出された出願の発明又は実用新案の創作と同様である。
コード6:その新規性等の要件を否定し得る先行技術文献は見当たらない。

 

また、明細書や請求項の記載が不明確であるため、検索及び対比を有効的に行うことができない場合、或いは、技術報告の請求の受理後に、請求項が訂正により削除されたか又は取り消された場合には、コードを付与しないが、対比説明において、その事実や理由を説明すべきである。

4.6「技術報告の引用文献の通知書」を送る

請求項毎に対し対比を行った結果、いずれかの請求項が新規性及び(又は)進歩性等の要件を有しない場合(コード1~5)には、「技術報告の引用文献の通知書」を以って権利者に対し説明を求めるべきである。

審査官は、権利者が提出した説明や資料に基づいて、前回の対比結果を変更すべきか否かについて判断すべきである。新たに新規性、進歩性等の要件に違反する事情を発見した場合には、再び「技術報告の引用文献の通知書」を送るべきである。

「技術報告の引用文獻の通知書」に対する応答は、延期及び面接の請求に適用されない。

4.7実用新案の技術報告の作成及び発行

実用新案の技術報告は、先行技術資料の範囲、対比結果、引用文献、及び対比の説明等を含む。

 

5.実用新案の技術報告を作成する際に注意すべき事項

(1)実用新案の技術報告を作成する際に、主務官庁に係属している訂正又は無効審判案件があるか否かについて予め調査すべきである。

(2)実用新案の技術報告の発行前に、何人が自発的に提供した参考資料が、新規性、進歩性等の対比の結果を左右する場合には、該資料を引用文献として技術報告に記載すべきである。

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