台湾では、意匠の早期権利化を図るために、早期審査プログラムを利用することができる。また、その試行期間は2023年9月1日~2024年12月31日である。
以下、この制度における、申請可能な時期、申請可能な者、申請方法、申請事由、初回審査結果(審査意見通知書や査定書を含む)の通知までの期間、政府料金、必要な書類を簡単に説明する。
申請可能な時期 |
台湾知的財産局から「本件は間もなく初審査に入る」との通知を受け取ってから、初回審査意見通知書を受領するまで |
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申請できる者 |
意匠出願人 |
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申請方法 |
オンライン方式で提出し、関連書類を添付する |
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申請事由 |
下記の3つの事由の何れかに該当する必要があります。 事由1:第三者による商業的実施 事由2:出願した意匠が、国内外で著名なデザイン賞を受賞しているもの 事由3:スタートアップ企業による意匠出願 |
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初回審査結果の通知までの期間 |
関連書類の補完後2か月以内 |
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政府料金 |
不要 |
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必要な書類 |
事由1 |
第三者による商業上の実施に関連する証明文献(例えば、製品カタログ、新聞・雑誌など)を添付するとともに、第三者の情報、実施行為及び実施開始期日などを説明すべきである。 |
事由2 |
出願人の名称と合致する受賞証明書、及び対応する受賞デザインの外観に係る証明文献を添付すべきである。本事由で受理可能なデザイン賞は以下通りである。 (1) ゴールデンピン・デザイン賞(台湾) (2) iFデザイン賞(ドイツ) (3) レッドドット・デザイン賞(ドイツ) (4) グッドデザイン賞(日本) (5) IDEA賞(アメリカ) |
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事由3 |
出願人が台湾人の場合、書類の提出は不要であるが、出願人が外国人の場合、外国会社設立日の証明書類とその中国語訳を提出する必要があり、その証明書類が原本でない場合は、更に声明書を提出する必要がある。 |
<よくある質問>
【Q1】早期審査は、書面方式でも申請可能であるか?
A:できない。オンライン方式による申請に限られる。
【Q2】意匠出願と同時に、早期審査を申請することはできるか?
A:できない。台湾知的財産局から「本件は間もなく初審査に入る」との通知を受け取って初めて、早期審査の申請が可能となる。
【Q3】早期審査のための書類が揃っていない場合、申請人はどのくらいの期間内に関連資料を補完すべきであるか?また、その場合、審査結果はいつごろ受け取れるか?
A:審査官は、早期審査のための書類が揃っていないと判断した場合、関連書類の補完を要求する旨の通知書を申請人に送付し、関連書類が補完されるまでは、通常の審査手続きを行う。なお、関連書類が揃っている場合には、別途通知をすることはなく、原則として、関連書類の補完後2か月以内に、審査結果の通知書が発行される。
【Q4】第三者による商業上の実施に関連する証明文献とは、具体的にどのようなものであるか?
A:当該意匠出願に基づく製品の写真や、製品カタログ、新聞・雑誌などである。また、意匠出願人でない第三者の情報や、実施行為及び実施開始期日なども説明すべきである。
【Q5】事由2に基づき申請する場合、どのような証明書類を提出すべきであるか?
A:出願人の名称と合致する受賞証明書、及び対応する受賞デザインの外観に係る証明文献、又は、受賞者、受賞デザインを示す図面、及びハイパーリンクの情報が掲載された主催者公式ウェブサイトのスクリーンショットである。
【Q6】Q5について、もし、意匠出願の図面と受賞デザインの外観に若干の差異がある場合、事由2を満たすか?
A:受賞デザインに比べて、意匠の外観の細部に若干の変更はあるが、その変更が、意匠全体の視覚効果に顕著な影響を与えていない場合、両者は「同一の意匠」の範囲内に属し、事由2を満たすと認定される。
【Q7】事由3のスタートアップ企業とは?
A:事由3を適用できるスタートアップ企業とは、台湾の会社法又は外国の組織法に基づき登記してから8年未満の会社であり、その8年未満の会社とは、スタートアップ企業の設立日から意匠出願日までの期間が8年未満のものをいう。なお、優先権主張を伴う意匠出願の場合は、上記期間の計算において、最も早い優先日を出願日とする。
【Q8】事由3に基づき申請する場合、件数の制限はあるか?
A:スタートアップ企業一社につき、同年の申請可能件数は3件までとなる。