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台湾知的財産局は、「メタバースと意匠との関係」を紹介する文章を発表

編集部

近年、メタバースは注目を浴びているので、知的財産局は、このテーマについてより理解を深めるために、メタバース関連のデザインが意匠として出願できるか、出願及び審査、並びにメタバース関連の意匠権の効力について、「メタバースと意匠との関係」をテーマとした文章を発表した。以下、その概要内容を紹介する。

一、概要

メタバースを表示するハードウェアの外観またはデジタルデザインのいずれも、工業または人工によって製造できるプロダクト(コンピュータープログラムプロダクトを含む)であれば、我が国では、意匠の保護対象となることが可能である。

メタバースは、図1に示す「仮想空間」、「仮想物品」、「ヒューマンマシンインターフェイス」に大別できる。前記の仮想空間は、メタバースにおける仮想空間の外観を指しており、出願にあたって、内装意匠と同一の手法で表現でき、前記の仮想物品は、仮想世界における物品を指しており、その中に、最近話題になっているNFTやゲームアイテムなどが含まれ、出願にあたって、物品意匠と同一の手法で表現でき、また、ヒューマンマシンインターフェイスはユーザとメタバースとをつなぐ架け橋であり、制御や操作に関するものは全てこのカテゴリーに含まれ、出願にあたって、画像意匠におけるグラフィックユーザーインターフェースと同一の手法で表現できる。

 

図1 メタバース意匠の出願タイプ

応用する物品は、実物(例えば、「バスの内部」や「地球儀」)ではなく、「コンピュータープログラムプロダクト」として記載する必要がある。

また、メタバースの審査要件における新規性の判断について、我が国の専利法第122条第1項の規定によると、意匠登録を受けようとする意匠は、出願前に既に同一又は類似の意匠が刊行物に記載された場合、公然実施された場合、及び公然知られた場合には、新規性を有しない。表1に示すように、同一の意匠とは、「同一の外観が同一の物品に応用する」ことを指し、類似の意匠とは、「同一の外観が類似の物品に応用する」、「類似の外観が同一の物品に応用する」、「類似の外観が類似の物品に応用する」ことを指している。物品についての同一、類似の判断は、普通の消費者が使用したときの実際の状況を想定し、商品の生産、販売及び購入時の状況を考慮した上で、物品の用途や機能が類似するかを判断すべきである。

              表1 同一、類似意匠の一覧表

上記判断に照らせば、例えば、「自動車」は、「仮想自動車」の新規性を否定するための引例とすることはできないことが分かる。

次に、創作性の審査は、該意匠の属する技芸領域において通常の知識を有する者が、出願時の通常の知識を参酌して、当該先行技芸を、模倣、転用、置き換え、組み合わせなどの簡単なデザイン手法で意匠登録を受けようとする意匠を完成でき、更に、特異の視覚効果が生じていない場合、容易に想到できる意匠であると認定すべきである。

この場合、「自動車」は、転用により「仮想自動車」の創作性を否定するための引例とすることができるはずである。

最後に、メタバース関連の意匠権の効力について、「仮想自動車」を「コンピュータープログラムプロダクトの画像」で保護を取得した場合、その専利権の効力は当然ながら、「NFT自動車」あるいは「ビデオゲームにおける自動車」などの仮想物品に及ぶ。しかしながら、「自動車」や「車のおもちゃ」などの実物に及ぶことはできないので、他人が「自動車」の外観を仮想世界におけるNFTあるいはビデオゲームに転用することを防止しようとした場合、我が国において、同時に「自動車」の外観について実物と仮想の物品との両方で出願したほうが万全と言えよう。

二、まとめ

知的財産局の説明をまとめると、以下の点が分かる。

1、メタバースを表示するハードウェアの外観またはデジタルデザインのいずれも、工業または人工によって製造できるプロダクト(コンピュータープログラムプロダクトを含む)であれば、意匠の保護対象になり得る。

2、メタバース関連の出願は主に、「仮想空間」、「仮想物品」、「ヒューマンマシンインターフェイス」との3つのタイプに分けられ、それぞれ、「内装意匠」、「物品意匠」、「画像意匠」の要領で図面を表現すればよい。

3、メタバース関連の意匠出願の審査については、新規性、及び創作性のどちらに関しても、応用する物品は「コンピュータープログラムプロダクト」に限定される点を除けば、基本的には、一般の意匠出願の審査と何ら変わりはない。

4、メタバース関連の意匠権の効力について、仮想外観の権利は、実物に及ばないので、より確実な権利保護を取得するために、同一の意匠について仮想外観及び実物の両方とも出願して権利を取得したほうがよいと思われる。

上記のように、メタバース関連の意匠出願は、ほぼ一般の意匠として扱われるので、一般の意匠出願と同じ要領で対処でき、ハードルが特に高いと言えない。直に訪れるメタバースの時代に備えて、先手を打って意匠による保護を取得するご意向がございましたら、お気兼ねなく、下記アドレスまでお問い合わせください。

ipdept@taie.com.tw

  

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